夢アイデア活動は、OBとして今も支援させていただいているが、特別な思い出の一つとして、「土木学会創立100周年記念事業の一つの土木学会市民普請大賞」に応募し、代表チーム6名の中の一人として、東京で夢アイデア活動の全国へのPR活動の機会を得た。この発表した時の状況を書かせていただく。時が経過する中、こんな熱い活動があったのだと思ってもらえば幸いである。なお、見解などは、あくまで個人的なものであり、夢アイデア活動でオーソライズされたものではないことはお断りさせていただく。ここに記している見解などは、すべて私本人に責任がある。
1)概要
夢アイデア部会の代表6名が、2014(平成26)年8月23日(土)~24日(日)に土木学会で開催された「市民普請大賞」の一次選考会に出席した。これは、書類選考を通過した33団体がプレゼンテーションを行い、その結果で、最終選考会に残る5団体を選考するというものであった。
1団体3分間のプレゼン→第1回投票→アピールタイム(1分間プレゼン、ロビー活動、懇親会)→質疑応答→第2回投票→公開審査・結果判定
という進め方で行われました。結果的には、夢アイデア事業は、優秀5団体には選ばれなかったが、他の5団体とともに、特別賞を頂いた。両日の状況を緊張、落胆、憤慨、巻き返し、安堵、事件、後日談等を含め、報告させていただきたい。なお、参加者は、針貝さん、私、H氏(初日のみ)、SI氏、SE氏、G君(当時学生)の6名であった。

2)市民普請大賞とはそして応募・プレゼンに至るまで
土木学会の募集案内によれば、“市民普請”とは、「市民が主導的な役割を果たしながら、地域を豊かにするための公共の取り組み」と定義されています。
予てより、夢アイデア事業の認知度向上の機会を探っておられた針貝さんが中心となり、書類作成し、応募となった。全国より78団体の応募があり、書類選考で33団体が今回の一次選考に臨むんだ。プレゼンテーションのために、3分間プレゼン用のパワーポイント、A1サイズパネル、一分間アピール用の原稿、Q&A集等、夢アイデアチームは、グランプリ受賞を目指して手套な準備を行った。
3)3分間プレゼンそして第1回投票結果
プレゼン会場は、四谷の土木学会講堂で、昼食時に合流できたG君を入れての6名は、準備開始の13時前には会場に付き、参加手続きを行い、初めてK審査委員長以外の審査員(8名)の陣容を知った。そして、その場で発表順番がトップであることが判明した。33団体のリストは公開されており、その一番目に載ってはいたが、まさかその順番どおりとは思っていなかった。
周囲の状況等を十分把握する時間もなく、プレゼンが始まった。

SI氏による夢アイデアの発表は、最後のまとめまで首尾良くできましたが、3分間の時間制限は厳しく、3分経過後は容赦なく「発表終了」の合図があり、最後までたどり着けない団体もかなりあった。
33団体の発表終了後に直ちに、第1回投票に移った。受付時に各団体には、第1回目、第2回目用の投票用紙がおのおの1枚(ただし、記名式で自分達以外の団体に投票)渡されていた。また、選考委員は、お一人5票(1、2回用で10票)持っておられるとのことであった。すなわち、全票数は、参加団体33票、選考委員45票(9名×5枚)、合計78票とあった。
パネルに投票用紙が貼られて行きます。推移を注目するが??? 我々のパネルには中々貼られない。何と、何と! 結果は0票。私も理由が分からなかったが、隣に座って居られた針貝さんの憤慨が頂点へ達していることが伝わってきた。
4)針貝さんによる緊急意見具申
1回目投票の結果が発表されると同時に、針貝さんによる緊急申し立てが始まった。
――― 市民普請大賞の選考の視点は、事前案内では、「発想・着眼点の新規性」、「参加者の多様性・連携度」、「取り組みの継続性・発展性」、「他の地域への応用可能性」等となっている。夢アイデア事業は、これらの視点にかなっている。12年継続という実績もある。何故、このような結果となるのか!!! おかしい、・・・、おかしい・・・、夢アイデア事業とは、・・・ ―――

すると、別の団体からも、何十年間の取り組み実績を3分間で話して評価されてしまうのは残念無念との発言もあった。審査委員側からは、3分間での伝え方も重要、これからロビー活動の時間帯もあるので、逆転もあり得るとの説明があった。私たちは、このままでは福岡へ帰れないと思い、SE氏の1分間アピールへ期待するとともにロビー活動を必死に行うとの覚悟を決めた。
5)SE氏による1分間アピールとロビー活動そして反省会
1分間アピールの順番は、今度はくじ引きで8番目であった。乾杯や差し入れ物の紹介後の時間帯であったので、マイクを使ってのアピールも聞こえないくらいの騒々しさの中でああったが、何とか挽回しないといけないという状況であった。
そこは、SE氏、いつもの講談師調の良く通る声、声の大きさ、話の分かり易さに加えて、アルコールの勢い借りての超絶叫スタイルで、選考委員を含めて、会場を唸らせた。後で、選考委員のお一人からは「一分間アピールはSE氏が一番」との感想も聞いた。一分間アピールの後も、我々は、選考委員の一人ひとりに対して、「1番、0票の夢アイデアグループですが、分かりにくかったですか、しかし、我々の仕組みは、世界進出も可能な仕組みで、・・・」とロビー活動に尽力した。しかし、初日はここでお開き。当然、その夜の反省会は、口から泡が出るほどに各自、憤慨の気持ちを交換することになった。
6)事件発生、2日目の審査、投票
さて、翌日は、9時からの開始であった。事前の案内では、直ぐに2回目の投票が始まることになっていた。しかし、昨夜、超絶叫で会場をうならせたSE氏の姿が見えない。SI氏に訊くと、何と、SE氏がアゴの下を何かの拍子で切って、大変だったとのこと。それでも、SE氏は若干遅れて会場到着。アゴの下部分にバンドエイドが貼ってはあるが、大丈夫とのこと。しかし、帰福後、5針も縫う羽目になったとのことであった。
さて、急に、審査側より審査方法の変更がなされるという説明があった。針貝さんの意見具申が効いたのかも知れない。発表内容でカテゴリー分けし、カテゴリー毎に選考委員との質疑応答を、最終投票前に行うということであった。
我々は、仕組みチームの入り、選考委員からの質疑に答えた。
そして、最後の投票、初回投票の結果を合わせての集計結果は、以下のとおりとなった。何と、2回目の投票では、トップ6票を獲得、しかも選考委員の票が5票も入っていた。しかしながら合計得票数では、上位5団体には及ばなかった。

7)最終選考結果
選考委員長は、合計得票数を考慮しながら、得票数の多い11パネルを選ばれ、それらのパネルを並ばせ、かつ、特に得票数の多かった4パネルを、優秀賞として上の段に配置された。残りは1パネルであり、下の段の7パネルより、会場の拍手の大きさで1パネルを決めるとのことで拍手を求められた。大きかったと判定されたのが3パネルあった。この段階で、我々、夢アイデアは優秀賞への道を断たれてしましました。
最後は、事務局が機転を利かせて音響デシベルの測定を行い、最終の1パネルが決定した。全体結果は、以下のとおりであったが、最後の1パネルは、宮崎から来られていた「高千穂通りを愉しくする会」のものであった。

なお、11パネル(11団体)の内、最終選考会へ進めなかった6パネルには、選考委員会の判断で、予定にはなかった「特別賞」を差し上げるとの案内があり、我々も何とか福岡へ帰って報告できる形になりました。
選考結果は、以下のとおりであった。
――― 優秀賞(最終選考会への通過団体) ―――
・NO.4 石積み学校:石積み学校による棚田・段畑の修復と石積み技術の継承
・NO.7 京都府立宮津高等学校建築家:建築の 学びを活かして 皆笑顔!
・NO.15 NPO法人道普請人:日本の新しい国際貢献、道普請のススメで貧困削減~アフリカ、アジア、太平洋 での住民参加による
・NO.31 特定非営利活動法人グランドワーク三島:市民・NPO・行政・企業による地域協働システムの構築で「市民普請力」を育成
・NO.32 高千穂通りを愉しくする会:街角を照らす、市民による市民のためのサードプレイスの創出
――― 特別賞 ―――
・NO1. 一般社団法人建設コンサルタンツ協会九州支部 夢アイデア部会:地域づくりの“夢アイデア”事業
・NO.8 ねや川水辺クラブ/寝屋川再生ワークショップ:寝屋川市域における市民協創による水辺再生の取組み(1級河川寝屋川、市内水路、淀川)
・NO12. 駒生川に魚道をつくる会:ふるさとの川に魚を呼べ
・NO.13 都築民家園茶室活用の会:都築民家園に市民に親しまれる本格的な「茶室」を整備
・NO.17 特定非営利活動法人:天竜川流域侵略植物駆除大作戦
・NO.33 上西郷川日本一の郷川をめざす会:上西郷川における子ども普請~日本一の郷川(さとがわ)へ向けた取り組み~
8)おわりに
2日目終了後は、最終選考へと進んだ「高千穂通りを愉しくする会」の方々と、合同の反省会(後者は祝勝会)を行った。
なんとか福岡へ帰って来ることができたが、最終選考に残れず不本意な気持ちが残った。市民普請の今日的な意義や課題についても、もう少し意見交換ができたらなとの思いもあった。また、夢アイデアという仕組みを選考委員、土木学会事務局、参加団体にもっと注目して頂きたかったと思った。この点については、針貝さんを中心とした参加者一同で、土木学会へ「未来社会創造・協働育成プロジェクトの提案~市民普請大賞・第1次選考会に参加して~」という感想と提案を提出することになった。
本来、競争をするような活動ではないとは思うが、競わせ、表彰するという土木学会の趣旨は、参加者のヒートアップ状況を見れば、成功したと思う。選考委員のご意見、他団体の発表、また我々代表チームメンバー間での意見交換等、大変な刺激と勉強の機会となった。
選考委員の方々、土木学会事務局、参加団体の皆様方、有意義でかつ楽しく、また刺激的な時間を過ごすことができ、私個人にとっては素晴らしい思い出となっています。
このような機会を与えて下さった、土木学会、建設コンサルタンツ協会九州支部、夢アイデア部会の皆様へも感謝しています。
なお、翌年、SI氏が中心となり、リベンジ挑戦を行い、準グランプリ賞を獲得しました。
大変長くなってしまったが、私にとっては、夢アイデア活動のハイライトの一つとして、いつまでも記憶に残っている出来事であった。
